前回の続きになります。
ROA(総資産利益率)
総資産に対する利益率を確認していきましょう。
当期純利益÷当期末総資産で算定しています。18年3月期については、当期純利益が分からないため、セグメント利益(≒営業利益)を使用して算出しています。他の期のように特別損失などのマイナスが入っていませんので、おそらく他の期に比べて少し高めに出ているかと思いますが、トレンドを判断するうえでは問題なさそうです。
19年3月期:0.5%
20年3月期:▲3.6%
21年3月期:▲21.8%
新型コロナウイルスの影響で近年客足が鈍っていることはありますが、コロナ前でも1%程度なので低い利益水準にとどまっています。
東急不動産ホールディングス全体での2030年目標のROAを5%以上としています。メインの賃貸、住宅販売、仲介事業などでは利益を出せていますので、ハンズ事業をどうしようかと思っているところで今回の売却を選択されたようですね。
収益性
次にROAを分解した収益性と資産回転率を見ていきましょう。
まずは売上高当期純利益率です。18年3月期は当期純利益でなくセグメント利益を使用する点は先ほどと同じです。
小売業で高い利益率は難しくECが台頭して競争環境が厳しいなか、苦戦していることが分かります。18年3月期や19年3月期の有価証券報告書の業績コメントを見ると、既存店は売上が落ちているが、新規出店や費用削減などで利益をなんとか確保している感じが伺えます。
19年3月期:0.2%
20年3月期:▲1.4%
21年3月期:▲11.3%
資産回転率
売上÷当期末総資産で算出しています。小売業なので回転率はまずまずの数値になっていますが、21年3月期は新型コロナの影響で売上も減少していますので、回転率も悪化していますね。
19年3月期:2.6回転
20年3月期:2.6回転
21年3月期:1.9回転
固定資産
ROAで使う総資産のうち、固定資産の割合がどの程度か考えてみましょう。
BS(貸借対照表)は公表資料から直接確認できませんでしたが、21年3月期の有価証券報告書で以下の記載がありました。
21年3月期における1年間の設備投資は1,662百万円で会社規模に比べてそこまで大きくありません。また主な賃借物件のリストも見てみますと主要な物件は賃借です。
ですので、店舗が入っているビルは基本的に賃借しており、物件所有している場合に比べてBSは小さく、ROAには有利に働いているものと思われます。
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