12月にスギホールディングスで、まもなく期末をむかえる22年2月期の予想業績について下方修正するとの発表がありました。修正に至った背景などを中心に見ていきたいと思います。
https://www.sugi-hd.co.jp/pdf-cms/841ef06e384550a00b292acb4412cf8bc4757640.pdf
会社概要
会社案内によれば、調剤併設型ドラックストアとして成長し、早期から訪問調剤に取り組み、訪問介護事業も展開するグループ会社で、予防・未病から医療・服薬、介護・生活支援まで、すべてのステージで健康を支援し、地域社会への貢献につながるトータルヘルスケア戦略を展開しているとしています。
馴染みがあるところとしては、薬はもちろんですが、日用品なども販売していて、生活に密着した店舗運営をしているスギ薬局のお店ではないでしょうか。
直近業績
直近4年分の売上と親会社利益(最終損益として会社に残る利益)をならべてみました。
大手のドラックストアは店舗数も増えてきており、スギホールディングスも順調な推移が見られるでしょうか。
大手のドラックストアは店舗数も増えてきており、スギホールディングスも順調な推移が見られるでしょうか。
ここ数年の傾向として、売上、親会社利益ともに毎年着実に伸ばしてきています。
売上は600,000百万円を突破する水準です。
21年2月期は、店舗資産の減損損失3,812百万円(20年2月期1,546百万円)を計上している関係で、最終損益である親会社利益は思うように伸びていません。それでも売上ほどの増加率ではないものの、親会社利益は対前年で増益となっています。コロナ禍でも成長していることがうかがえるかと。
■21年2月期:売上602,510百万円(対前期+60,546百万円、増減率+11.2%)、親会社利益21,120百万円(対前期+338百万円、増減率+1.6%)
■20年2月期:売上541,964百万円(対前期+53,500百万円、増減率+11.0%)、親会社利益20,782百万円(対前期+2,842百万円、増減率+15.8%)
■19年2月期:売上488,464百万円(対前期+31,417百万円、増減率+6.9%)、親会社利益17,940百万円(対前期+1,529百万円、増減率+9.3%)
■18年2月期:売上457,047百万円(対前期+26,252百万円、増減率+6.1%)、親会社利益16,411百万円(対前期+1,464百万円、増減率+9.8%)
■20年2月期:売上541,964百万円(対前期+53,500百万円、増減率+11.0%)、親会社利益20,782百万円(対前期+2,842百万円、増減率+15.8%)
■19年2月期:売上488,464百万円(対前期+31,417百万円、増減率+6.9%)、親会社利益17,940百万円(対前期+1,529百万円、増減率+9.3%)
■18年2月期:売上457,047百万円(対前期+26,252百万円、増減率+6.1%)、親会社利益16,411百万円(対前期+1,464百万円、増減率+9.8%)
なぜこんなに売上を毎年増やすことができるのかというと、店舗数がかなりのペースで増えている部分が大きいですね。
21年2月期(20年3月~21年2月)の有価証券報告書には、121店舗増えて17店舗減ったとあり、純増数で104店舗増えています。21年2月末には1,391店舗になっているので、新型コロナの影響でお客様が足を運びにくい環境にあったにもかかわらず、全体の1割弱の店舗について21年2月期に増えたということです。
かなりのペースが分かりますね。
直近のHPを見ますと21年11月末は1,456店舗となっており、さらに増えていきそうな勢いです。
業績修正
12月に公表された22年2月期の業績修正は以下のとおりです。
売上、親会社利益ともに修正前より減少していますね。
売上、親会社利益ともに修正前より減少していますね。
新型コロナウイルスによる影響があったということでしょうか。
■修正前:売上650,300百万円、親会社利益22,000百万円
■修正後:売上625,000百万円、親会社利益18,300百万円
■修正後:売上625,000百万円、親会社利益18,300百万円
21年2月期(20年3月~21年2月)は、多くの企業で新型コロナウイルスの影響を大きく受けた期間であり、スギホールディングスについても影響を受けており、新型コロナウイルス感染症対策商品や巣ごもり需要の拡大があったとされています。ドラック業界ならではかもしれませんが、業績にとってはプラスの影響。
22年2月期においては、新型コロナウイルス感染症対策商品や巣ごもり需要の反動減が想定以上に大きいとしています。
また、マスクの常用や衛生意識の高まりによる化粧品・OTC 医薬品(医師に処方してもらう「医療用医薬品」ではなく、ドラッグストアなどで自分で選んで買える「要指導医薬品」と「一般用医薬品」のこと)の需要減少も長期化したとしています。
また、マスクの常用や衛生意識の高まりによる化粧品・OTC 医薬品(医師に処方してもらう「医療用医薬品」ではなく、ドラッグストアなどで自分で選んで買える「要指導医薬品」と「一般用医薬品」のこと)の需要減少も長期化したとしています。
これらは業績にとってマイナス影響となりますが、想定以上の影響であったため業績修正という形で公表されたものかと思われます。
将来業績を検討するにあたり、コロナ影響をどう読むかの難しさがあらためて感じますよね。
連結子会社
「スギホールディングス」という会社は、グループ会社の頂点である親会社です。
会社名にあるように、組織のあり方としてホールディングスの形をとっています。
会社名にあるように、組織のあり方としてホールディングスの形をとっています。
「スギホールディングス」は、主に経営全般における指導や管理、店舗の企画開発、店舗や事務所の賃貸、資金援助など、グループ会社の管理業務を行っています。親会社が直接店舗などを営んでいるわけではありません。
スギ薬局の店舗を運営している会社は「スギ薬局」という子会社ですね。
スギ薬局の店舗を運営している会社は「スギ薬局」という子会社ですね。
21年2月期末の子会社数は9社ですが、「スギ薬局」の業績が大きな割合を占めています。有価証券報告書によれば、「スギ薬局」の売上はスギホールディングス連結全体売上の90%以上を占めているとしています。
「スギ薬局」は商品販売や調剤サービスなど店舗運営を通じたお客様との関わりを持っている会社です。スギホールディングスのグループにおける、実質的な売上などは「スギ薬局」がほとんど計上しています。
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